第18章 こちら、アラシノ引越センター!
振り向いたら、アルファードが近づいてきている。
どこかで見たことのある車だと思ってじーっと見ていたら、運転席には支社長の徳川さんが乗っていた。助手席には、副支社長の武蔵さん。
「あ…」
ペコリと頭を下げると、車はハザードを出して路肩に止まった。
助手席のパワーウインドウが降りて、副支社長が顔を出した。
「おはよう。大野くん」
「おはようございます」
そう言って頭を下げたら、武蔵さんはにっこり笑った。
ワイルドなサングラスを掛けている徳川さんは、運転席から革のドライビンググローブを嵌めた手をチャキっと上げた。
「よかったら、乗っていきなよ」
「あ、いいんですか?」
「俺も出勤途中で支社長に拾ってもらったから」
「あ、そうなんですね。じゃあお邪魔します」
二日酔いでキツかったから渡りに船だ。
後ろのスライドドアを開けて車に乗り込むと、車内はいい匂いがした。
「なんかいい匂いする…」
「あ、ごめん。臭かった?」
「いえ、そうじゃないです。いい匂いです」
「ふふ…徳川家に伝わる秘伝のお香で…」
「ええっ…」
そういえば…支社長の家は、あの将軍家の末裔の親戚←だって聞いたことが…
「いい加減にしろよ」
運転する徳川さんの肩を、武蔵さんがベチっと叩いた。
「また、新人君に嘘ばっか言ってんじゃねえよ。潤」
「こら。新人君の前でぶっ叩いてんじゃねえよ。翔」