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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第5章 約束


「仕事…ね…」
「はい。それに、弁護する人は、今までも色んな人がいました。だから、どうぞお気になさらず」
「ふうん…若いのに優秀なんだ?」
「いえ、そういうわけじゃ…」

ちょっと俺を伺うように上目遣いで見ていたけど、ふうっと息を吐きだしたら、またにっこりと笑った。

「じゃあ、お願いします」

明るい顔…
本当にこの人は、殺人事件なんて起こしたんだろうか。

罪の意識をまるで感じてないように見える。
自分の恋人を、自分の手で縊り殺しているのに、その暗い影はどこにも見えない。


「そうですね…どこから話そうかな…」

腿の上で手を組むと、少し指を開いたり握ったりしている。

「刑事さんにも何回も同じこと話してるから、何を話せばいいかわからなくなっちゃう…」
「では…まず、事件当日のこと、教えてください」
「…はい…」

また薄っすらと笑って、それから二宮は少し遠い目をした。

「金曜日、でした…」

窓もない留置場の接見室をぐるりと見渡すように視線を動かすと、まっすぐに俺を見つめた。

「智から…あ、俺の恋人の、大野智です」
「はい。承知しています」
「ああ…そうだよね。もう調べてきてるよね…」

クスっと笑うと、また遠い目をした。

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