第18章 こちら、アラシノ引越センター!
武田さんはバインダーをドアポケットに戻すと、エンジンを掛けてハザードを解除した。
「ふたりから聞いたってことは、絶対漏れないようにするから。それと暫くは、社員としか組まさないよう、北島に言っておくから」
そう言って、ハンドルを切って、発車させた。
「…ほんと今までよく我慢してくれたね…」
武田さんが申し訳なさそうに言う。
「いえ…俺、他に行くとこないし…それに本当に能無しだなって思ってたから…」
大野さんの言葉に、びっくりした。
「そんなことないって。まだ一ヶ月にしちゃ、ほんと良くやってくれてるんだからさ」
能無しだなんて…
全然俺には見えなかった。
あまり普段はやる気のない雰囲気だけど、ここぞって時の集中力は凄いし、俺よりも腕力あるから荷物もいっぱい運べるし…
なにより、今日は凄くフォローしてくれたし。
なんで、大野さんはそんなこと思うんだろう。
「俺も…自分が非力だからいけないんだと思ってましたんで…」
そう言うと、武田さんも大野さんも否定はしなかった。
「…元気だせよ…二宮くん」
…やっぱり、そう、だよね…
わかってたけどさっ!
「でも…ニノちゃんは、凄く良く気がつく。頭の回転いいよね。俺たちが見落としそうなことも凄くよく気づいてやっておいてくれるから、そういうとこ大事にしていこうな」
腕力は、後から付いてくるって。
武田さんは励ましてくれた。