第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「ありがとうございましたー!」
お客さんに作業確認のサインを貰って、外した材を荷台でちょっと整理して、次の現場に向かう。
運転席に武田さん、真ん中に大野さん、窓側に俺。
乗り込んで暫くしたら、武田さんが上機嫌で話しかけてきた。
「だいぶ慣れたね。覚えがいい」
「へ…?そうですか…?」
「ふたりとも、頭いいんでしょ。動きに無駄がないよ」
「えっ…」
思わず大野さんと目を合わせた。
「そう…ですかねえ。よく殴られるけど…」
「ね…」
急に、路肩に武田さんが車を停めた。
「ど…どうしたんですか…?」
「殴るって、ホント?誰?」
浅く被ってたキャップをぽいっと大野さんの膝に投げると、武田さんはバインダーをドアポケットから取り出して、ボールペンを握った。
「言って?殴るやつ、誰?」
「え…」
すんごい怖い顔してる…
大野さんは武田さんのキャップを握って、俺の顔を見た。
「絶対、ふたりから聞いたって言わないから。聞かせて」
それでもビビって喋れなくなってる俺を見て、武田さんはちょっと悲しそうにため息を付いた。
それからぼそぼそとこんなことを聞く事情を話してくれた。
武田さんは、支社長に言われて以前からバイトが居着かない理由を探っていたそうだ。
本当にうちの支社はバイトの定着率が悪いんだって。
もちろん肉体労働だからしょうがない部分もある。
でも他の支社に比べて、数字でも明らかにすぐわかるほどなんだそうだ。
「やっと、理由がわかったわ…」
ぼそっと武田さんはつぶやいた。