第18章 こちら、アラシノ引越センター!
ここは、あたりまえだけど男ばっかりの職場で。
もちろん、梱包サービスなんかもあるから、そこは女性もいるんだが。
その女性たちは、現場ごとの契約になっていて、めったに事務所には顔を出さない。
事務員に、女性が一人いるんだが、地味で目立たない方だから、女としてみなされていない風潮のようだ。
だから、飲み会となると…
流血沙汰になったりすることがある。
酒が入ってないといい人たちだったりもするんだけど…
それでも、「人買い」と呼ばれている派遣会社から来る、日払い作業員さんたちへの態度は、ものすごく横柄なときもあるし。
正直怖い。
お酒が入ると、もっと怖い…
歓迎会のときも、危うく店に警察を呼ばれるとこだったし…
「あー…俺は…」
行かないと言おうと思ったその時。
大野さんはちょいちょいと鼻の頭を指で掻いて、ちらっとこっちを見た。
俺と目が合うと、ちょっと可愛らしく小首をかしげて微笑んだ。
「俺、二宮くんが出るなら出ようかな…」
んなっ…
何だその顔…
めったに笑わない男、大野智の笑顔…
あまりの衝撃映像に俺は固まってしまった。
「…なんてね…」
それだけ言うと、照れたまま勢いよく立ち上がって、外に出ていった。
すぐに立ち上がって、壁に貼ってある忘年会の出欠表を見た。
【出席】の欄に、はんこを押しておいた。