第18章 こちら、アラシノ引越センター!
12月も中旬に差し掛かってきた。
引越し業者の繁忙期というのは、2月から3月。
それでもこの年末というのも、ぷち繁忙期に入るようで、毎日仕事が途切れなかった。
朝、ロッカールームで着替えて休憩室に行くと、既にもう出払ってるチームがいるらしく、作業員は疎らだった。
「二宮くん」
大野さんが話しかけてきた。
「おはようございます」
「はよっす」
俺の隣のパイプ椅子に腰掛けると、ギイっと音がした。
ちょっと変な顔をして、椅子を降りるとしゃがんでパイプ椅子をしげしげと眺めている。
どっか壊れてるか確認してるのかな。
ずいぶん長いこと、パイプ椅子を眺めてる。
「…どうしたんです?」
「へあっ!?」
なんか夢中になってた見たくて、話しかけたらぎょっとされた。
「ぶっ…」
「あ、ごめん…俺から話しかけておいて…」
今月頭から、一緒に現場に入るようになった大野さんは、ちょっと変わってる。
変わっているというか、天然。
普段はやる気のないぼーっとした雰囲気なんだが。
一旦夢中になると、人の声が聞こえなくなるほどの集中力を発揮する。
「いやさ、忘年会…出る?」
「ああ…忘年会…」
正直、どうしようか迷っていた。