第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「いやいや、いいって!午後のJDすんごい頑張ってくれたじゃん!やるねぇ~」
「いえ、そんな……」
「でもさ、ホントに虫苦手なんだね~。あの驚き様凄かったよ!」
「す、すいません…」
児島さんはあの言い訳をそのまま信用しているらしく。
…やっぱ天然ってこういう人の事言うんじゃないか…?
「夏なんか引越屋は大変だぞぉ。SIMフリーならぬ、虫フリー…って、夏までいないか」
「え?」
「だって、次の就職先見つかるまでのつなぎって聞いたよ?」
「あ、ああ…まあ…」
ちょっとバツが悪そうに、二宮くんは笑った。
「でも…結構楽しいです…引っ越し…」
「そう?そう言ってもらえたら嬉しいな。俺は好きなんだよ。引っ越し屋!」
児島さんは、本当にこの仕事が好きで。
アルバイトから試験を受けて社員になって、作業員の中じゃ数人しか居ないマイスターにもなってる。
プロの作業員ってことだ。
だから、俺たちみたいなつなぎで来てるバイトでも、横柄な態度を取ることなく、ちゃんと仕事を教えてくれる。
本気のいい人だ。
「大野くんもそうなんでしょ?」
「えっ…まあ…そうですね」
「でもまあ、繁忙期終わるまで居てくれたら助かるけどさ…人の人生だからなあ…」
「まあ…でも、俺も…ちょっと楽しいなって思ってます」
「ほんと?嬉しいなあ…」
ニコニコと、児島さんはハンドルを切った。