第18章 こちら、アラシノ引越センター!
一体何が起こったか分からなくて。
頭が真っ白になって助けに飛び出せなかった。
「二宮くんっ…」
それでも立ち上がって、車道で倒れている二宮くんに駆け寄ろうとした瞬間、クラクションの音が響いて、車が急停車した。
「危ないっ」
間一髪、二宮くんの目の前で車は停まった。
「え…うそでしょ…」
児島さんが座ったまま呆然としていた。
車の運転の人も、自転車の人もいい人で…
大騒ぎにはならなかった。
幸い、誰にも怪我がなかったので、警察を呼ぶこともなくそのまま解散となった。
二宮くんは気の毒なくらい、頭を下げて謝ってた。
しかし、こういうのは後でクレームが入ったりするから、ちゃんと上には報告しておかなきゃいけなくて。
児島さんは、自転車の人と車の人の連絡先を聞いて、支社長に電話してた。
休憩時間はとっくに終わってたんだけど、後から引越先に来たお客さんに説明してちょっと伸ばして貰った。
その交渉は俺がやったんだけど、なんとかわかってくれて、助かった。
「…すいませんでした…」
部屋にいるお客さんに説明してから、植え込みに座り込んでる二宮くんのとこに戻った。
児島さんはまだ、電話している。
「いや…いいんだよ…」
なんかちょっと涙目になってて。
気の毒になった。
「気に、すんなよ」
「でも…」
「なんか、あった?」
「…え?」
「ボディタッチ、嫌だったとか…?」
「…い、いえ。そうじゃなくて…虫が急に…」
なんか、明らかに言い訳してる感じだったけど…
あまり深入りされたくなさそうだったから、それ以上は突っ込まなかった。
「まあ、これ終わったら、JDだし?元気出せよ!」
児島さんみたいなこと言ってしまって、ちょっと後悔した。