第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「ぷっ…」
児島さんが俺の顔を見て、噴き出した。
「もしかして…自覚なかったの…?」
「…精一杯、愛想よくしていたつもりでした…」
「そ、それで!?まじでいってんの!?大野くん!!」
マジだ。マジも大マジだ。
「…腹筋いてぇ…」
腹でも下したのかな?この人…
「…大野さんって、面白いんですね」
「は?」
作業の休憩時間に、二宮くんに話しかけられた。
会社で待機時間とか、一緒になることはある。
人の輪に入って話しているときに、ボソボソと喋ったことはあるけど、個人的に話すのは初めてだった。
「面白いことなんてしてないけど…」
「それが面白いんですよ。天然っていうか」
「へ?俺、天然?」
「…もしかして、それも自覚ないんですか…?」
「…むう…」
マンションの外の植え込みの段差が、ちょうどベンチのようになっているので、隅っこの方でジュースを飲みながら休憩させてもらってた。
児島さんは、会社に電話連絡していて、このあとの作業の打ち合わせしている。
「天然って児島さんみたいなおっちょこちょいな人のこと言うんでしょ…?俺、そんなおっちょこちょい?」
「くく…」
二宮くんは、笑いを堪えるように下を向いてしまった。
「え?またおかしなこと言った?」
「あ、ごめんなさい…そうじゃなくて…」