第18章 こちら、アラシノ引越センター!
「そんなビビんないでよ…」
児島さんが苦笑いした。
「そりゃ、作業員なんてガイジみたいな人ばっかだけどさあ…」
…確かに…
頭にどこか障害でもあるんだろうかと思うほど、作業員の中には喧嘩っ早い人が居て…
男ばっかりの職場だからかもしれないが、みんな気が荒いというか。短気というか。
今まで俺が最も苦手としてきたような、男社会で。
そりゃそうだよね。ガテン系なんだもん。
「そんな…俺、ちょっと人見知りで…すいません、大島さん」
あ…二宮くん…
児島さんの名前、おもっきり間違えた。
「いや、児島だよ!」
「すいません!俺、人の名前覚えるの苦手で…」
「いや、次も頼むよ」
「へ?」
児島さんはふふふと笑って、ハンドルを持つ手を入れ替えた。
「…まあ、見てりゃわかるけどさ。二宮くんも大野くんも、人が苦手そうだよね」
バレてる。なぜだ。
「ぷっ…」
なぜか二宮くんが噴き出した。
不思議に思って顔を見たら、しまったって顔して目を逸らした。
その顔が、子供みたいで。
「ぷっ…」
今度はこっちが噴き出してしまった。
「す…すいません…」
「い、いえ…」
「なに~?ニノちゃん、なんで笑ったのさ?」
児島さんが信号で停止して、話に割り込んできた。
「えっ…いや、その…」
「なんだよお!俺にも教えてくれよお」
児島さんはうざ絡みしてくるのがたまにうざい。
「いや…俺も人の事は言えないんだけど…大野さん、人付き合い苦手オーラ全開なのに…児島さんに指摘されて、不思議そうな顔してるから…おかしくて…」
なぜだ。なぜバレている。