第16章 BOY【O side】EP.9
「あーっ!ちょっとまた、寝てるよ!この人は…」
「まあまあ…ニノちゃんが腰抜けるほど、頑張ったんだからさぁ…」
カレーのいい匂いが漂っている。
今は何時だ。
俺はどこにいるんだ。
「智って…万年寝太郎みたいだね…」
「え?万年…?」
戸惑う和也の声が聞こえる。
おまえ…もう元気になったのか…
やっぱ若いって凄い…
「翔、それ…三年じゃないの…?」
いつもズバリ言う潤にしては遠慮がちな聞き方で…
「えっ…ずっと万年だと思ってた…」
ぶーっと雅紀が盛大に吹き出すのが聴こえた。
「さあ…テーブルについて。もうカレー出来たよ?」
「はーい!」
「三年…」
「翔、かわいいなあ…」
「智!智起きてよ!夕飯できたよ?」
和也の怒鳴るような声が聴こえた。
…ふぁ!?夕飯!?
って、俺そんなに寝てたのか…
「もー!起きないよ!雅紀…」
「そういうときは、膝の上に乗ってやればいいの」
「え?」
「智、膝に乗られるとくすぐったくてすぐ逃げるから」
「へぇ~」
どすっと俺の上になんか乗っかってきた。
「ふにゃっ…」
「さ…とし…?」
俺の上にいるのは、翔だった。
「あれ…翔?」
「さ、智…起きて?」
「あ、ああ…」
「えへ…」
照れくさそうに…でも、嬉しそうに。
翔は微笑んだ。
いーなぁ…
幸せな笑顔だ。
翔の後ろには、にこにこしてる和也と雅紀。
ソファの横には、余裕の笑みを浮かべてる潤が立ってる。
「さ、夕飯食べよ?」
潤も俺に向かって笑いかけてきた。
「…へーい」
翔が俺の上から降りて、潤と二人で俺のこと起こしてくれる。
「何カレー?」
「マトンカレー」
「は?マトン?」
しあわせの、風景
【END】