第16章 BOY【O side】EP.9
「あ、怒った」
「は?」
「怒ったからヤラせろ」
「はい?俺もう…」
がばっと和也に覆いかぶさった。
「…監督プレイは、俺が辛い…」
「…ばかじゃないの…参加すればよかったじゃん…」
そう言いながらも、和也は柔らかく微笑んで…
俺の頬を、温かい手で包んだ。
「俺も、智が欲しいよ…」
「おう…」
「動けないけど、いい…?」
「俺は昨日いっぱい寝たから元気だ」
「ぶぶっ…」
笑いながらちゅっとキスすると、俺の腰に脚を絡ませてきた。
「ちょうだい…智…」
ああ…しあわせだ…
服を脱ぐのももどかしくて。
和也はもう準備万端で、足を広げて俺のこと待ってる。
やっと準備ができて和也を見ると、俺を見上げて妖艶に微笑んでる。
本当にこいつは…
一体どれが本当の顔なんだろう。
子供みたいだったかと思うと、急にシニカルになったり。
いつも、俺に違う顔を見せて…
今日は娼婦のように俺を誘う。
「…堪んねえ…」
そうかと思えば、慈悲深い女神みたいな顔してさ。
俺の手を取ると、強引に引き寄せた。
「わっ…」
和也の上に倒れ込んで。
目が合うと、子供みたいに笑った。
世界一、嬉しそうな…あの笑顔で。