第16章 BOY【O side】EP.9
雅紀は嬉々として、手錠を和也の手首にはめ込んだ。
輪と輪のつなぎ目には麻縄がくくってあって、ダイニングテーブルの足にその麻縄をくくりつけた。
「あーあぁ…」
もう、だめだありゃ。
雅紀本気だ…
「翔…」
「うん…?」
「今日もう、一日潰れたと思っとけ…?」
「え、えええ…?」
「雅紀本気だから…今日多分もう、どこも出かけらんねぇわ…」
「ほえ…」
テーブルの上の和也は、足をバタバタさせて抵抗していたが、もう動けないと悟ると大人しくなった。
「バカ雅紀…」
「先に悪い子だったの誰?」
「えー…もお…」
「過去に嫉妬してどうすんの」
「…だって…」
「今、ここにいる智はなんなの?」
説教モードに入っている…怖いなぁ…
「しかも翔ちゃんまで利用して…こんな悪い子見たことない」
「だぁってぇぇ…」
雅紀はテーブルの上に飛び乗ると、和也の上に馬乗りになった。
「だってもクソもねえんだよ」
カチッと、雅紀のスイッチがはいった。
潤が慌てて部屋中のカーテンを閉めに行った。
遮光カーテンだから、これで電気を消してしまえば、部屋の中はある程度暗くなる。
俺はゆっくりと照明のリモコンを取ると、スモールを点けた。
俺の顔を見て、雅紀はニタリと笑った。