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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -


直接喋ったのは、その時の泥酔寸前の翔ちゃんが最後だった。

それから、幾度か店の前を通り過ぎる翔ちゃんを見るんだけど、決して彼は店には寄っていかなかった。
連絡しても留守電ばかりで…たまに電話に出てくれても、そっけない返事が続いた。

そんな日々が一年続いた。

ある日、智が気づいたんだ…

「和也…翔くん、痩せた?」

ぼんやりと店の外を見てると思ったら、翔ちゃんが通り過ぎていくのを目で追っていた。

「え…?」

慌ててガラス戸を開けて翔ちゃんを呼び止めようとしたけど、あまりの後ろ姿の細さに声が出なかった。

「和也…」

智が俺の肩に手を置いた。

「もしかして、翔くん何かあったのかもな…」

たまに店に来る雅紀や潤に聞いてみても、普段と変わりないって返事だったし。
どうやら二人には会ってるみたいだった。

どうして俺たちを避けるんだろう…
俺たちなにかしたんだろうか。
それとも仕事のことだろうか…それとも人間関係…?

いくら二人で考えてもわからなかった。


…いや…

本当は、わかってたのかもしれない

ただ…それを俺も智も、ちゃんと見えていなかっただけで…

本当は…

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