第16章 BOY【O side】EP.9
「はい、翔ちゃん。あーん」
「あ、あーん…」
「ん~っかわいい!いい子っ」
ワシワシと和也が翔の頭を撫でている。
潤はそれをむすっとした顔で見てる。
それを雅紀はニヤニヤしながら見てる。
「和也、あーん」
「え…」
口を開けて待っていたら、口の中に生ハムメロンが放り込まれた。
「もぐ…んまい」
「あらそう」
冷たい…和也もう、ずっと翔のことばっかり構って…
潤がピキピキしてる。
「あらあら…もう、ニノちゃんったら…」
雅紀はずっとニヤニヤを崩さない。
昨日の話を聞いて、和也の嫉妬心に火が着いてしまったのは明らかだった。
でも、ぜってー認めないんだよなあ…
この天の邪鬼が。
「カズ。いいかげんにしろよ」
「え?なあんで?翔ちゃん遠慮して食べないから、俺が食べさせてんの!」
「あ、あの俺…自分でたべ…」
「もお!だったら智に食わせてやれよ!」
「あう…あ…」
「おじさんは自分で食べるからいいでしょお!?」
自分でおっさんいうのはいいが、おまえが言うか。
「ニノちゃん…悪い子。おしおきね」
雅紀の一言で、ピタッと時が止まった。
ティーカップを優雅に取ると、ゆっくりと雅紀は紅茶を飲み干した。