第16章 BOY【O side】EP.9

「えっ！？あっちで寝てんの？」
「違う違う…まあ、とりあえず潤もお風呂入ってきなよ？ね？」
「おう…俺が今入ったから、温かいぞ」
「えっ！？なんで今入ってんの！？っていうかなんでこんな時間からみんな起きてるの！？ジジイなの！？」
「うっせー！早く入ってこい！」
「ほら、早く行ってきなよ…？ね？」

雅紀がとっととリビングから素っ裸を追い出した。

「はー…なんなんだもう…朝っぱらから…」
「智が早く寝ちゃうからでしょ？みんな、智の話聞きたがってたのに…」
「おまえが全部言っちまったからいいだろうが」
「あら…聞いてたの？」
「知らね」

ぷいっと目を逸してやったら、雅紀はふふふっと笑って。

「じゃあ、ちゃんとみんなに話してあげなよ…俺も知らないことあるんだからさ…」
「俺だって、雅紀が西島とどうやって知り合ったかとか、しらねーぞ？」
「あれ？言ってなかったっけ？」

ニヤリ、雅紀は笑う。

「あれは雨の降る夜だった…彼はびしょ濡れになってコートに子猫を包んで、店に飛び込んできたんだ…」
「ヘタクソ」
「えっ！？」
「ストーリーがベタでヘタクソ」
「ええっ！？」
「セリフも棒読みでヘタクソ」
「えええっ！？酷すぎるっ…」

泣く真似してるけど、それもヘタクソだからな。
だから、ビデオのちょい役も雅紀にはやらせらんねーんだ。