第16章 BOY【O side】EP.9
なあ…
あんたも、今頃こんな生活してんのか…?
「あ…智寝ちゃった…」
「すげーな…どうしてこの人、一日のうちの大半をこんなに寝て過ごせるんだろう…」
やかましいな…
「智っていつもこうなの…?」
「ふふ…カレー食ってるか、ぼーっと爪見てるか、スマホで釣りの動画みてるか、寝てるか…」
「え…?社長業は…?」
「雅紀が殆どやってる」
「え…えっと…」
うるせえなあ…
「嘘、嘘。信じちゃった?」
「え、うん…」
「うちで制作してるビデオはほとんど智が、企画からストーリーから絵コンテから一人でやってんだよ?」
「えっ…そうなんだ…ヒュアキントスでも聞いてみたけど、すっごく評判良かったよ」
「へえ…嬉しいねえ…」
「夢が…見れるんだって。アテナの制作したのって…」
「ふふ…それが、智の夢だからねえ…」
ばさりとなにか、体の上に掛けられた。
毛布だな…あったかい。
「ふにゃ…」
「あーあ…よだれ垂らして…」
誰かがティッシュで俺の口元を拭っていった。
「…そんなに話したくないのかなあ…」
「ニノちゃんたら…別にそんな心配しなくてもいいんだよ?」
「だって、これ…なんだっけ…狸寝入りっていうんでしょ?」
「背中に薪背負わせて、火をつけたら起きるよ?」
俺はカチカチ山の狸か。