第16章 BOY【O side】EP.9
やっちまった。
ちょっと和也泣きそうだ。
「…別に話したくないことはないことはない」
「どっちよ…」
「うーん…」
「御飯のあとにしたらぁ?もうできるよ~!」
雅紀がアイランドキッチンの向こうから、のんきに大声を出してる。
「あ、じゃあ…食べようか…」
潤が気まずそうに新聞の記事を翔に返した。
「うん…あ、俺なんか手伝い…」
「じゃあ食器だそうか…」
潤は翔のコートを脱がせるべく、小部屋に入っていった。
和也は、じっと俺を見てる。
「…来いよ」
呼ぶと、ぼふって俺の上に倒れ込んできた。
「ぐえ…」
「ごめん」
「…え?」
「触れられたくなかったんでしょ?」
「いや…そういうわけじゃないけど…」
「…じゃあ、聞きたい」
「…そう?」
「だめ?」
「だめじゃないけど…なあ…」
ぽふぽふと和也の頭を撫でた。
「…ま、後でな」
「約束」
ピンと、右手の小指を突き出してきた。
「わあったよ…」
げんまんして、指を切った。
雅紀の野郎…絶対あとでおしおきしてやる…
…つっても、雅紀のが力が強いから、できるかわかんねーけど…
「…雅紀、手伝ってくる…」
和也は俺の上から居なくなった。
「…ま、しょうがねえかあ…」
あんま…過去のことは恥ずかしくて…
言いたくないんだがな