第16章 BOY【O side】EP.9
「ほら、ここに…隅っこに写ってる、この人」
雅紀が記事の写真を指差した。
「これ、智のいい人。ドバイで一緒に住んでたんだよ」
あ、雅紀コノヤロ…
「えっ…」
「うそっ…」
「え?この外人さん?」
翔も和也も潤も…
飛びつくようにその記事を取り合った。
「もっとよくみせてーーー!」
「ちょ、破れる!待って!待ってってば!」
「早く見せて!」
団子になって、記事を取り合ってる…
雅紀はニヤッと笑うと、キッチンに戻っていった。
「あああ…クソが…」
もう脱力して、ソファに倒れ込んだ。
「ねえ!智、智のいい人って外人さんだったの!?」
「…ああ…」
「それってあれ?……雅紀が言ってた、智の忘れられない人?」
ガッデム
雅紀、やっぱお仕置きしてやる
和也の言葉に、潤も翔も黙り込んで。
倒れ込んだソファから体を起こすと、ちらっと3人を見た。
「…そうだよ」
「あれ…この人どっかで…」
潤が首を傾げてる。
「なんだっていいだろお…」
「智、この人は…」
「もう過去の人」
「いや、そうじゃなくて…」
「もう俺とは関係ねーの」
そういうと、3人で目を合わせて。
「もしかして…あんま、話したくない…?」
和也が、いつもより多く瞬きした。