第16章 BOY【O side】EP.9
でもさ…残念
和也はさ
俺たちの恋人だから
そして、和也の一番は…俺だから
雅紀の一番も俺だけど
あれ…?俺の一番は……誰だ?
ま、なんでもいっか…
だって今は、潤も翔も俺たちと恋人なんだもん
5人でいる
ずっといる
それでいいじゃん
「智ーっ!またこんなとこで寝て!」
雅紀の怒鳴り声で目が覚めた。
俺はローテーブルとソファの間の床で寝ていた。
「あれ…?いつの間に…」
狭い中で体を起こしたら、雅紀に腕を引っ張られて立ち上がらされた。
「まだ眠ぃ…」
「もお!おばかなんだから…翔ちゃん来たよ?」
「え?翔?」
「なんか、妹ちゃんが弟くん連れて、近所のお友達とお泊り会なんだって。だから、翔ちゃんこっちで今日寝るって」
「え…?まじで?」
さっきあんなに…和也が気を揉んでたから…
神様が、翔を連れてきてくれたのか?
リビングにちょうど翔が入ってきたとこだった。
潤が嬉しそうに翔の手を引いてる。
「入って入って…」
「う、うん…」
キッチンに立ってる和也は、それを嬉しそうに眺めてた。
「翔ちゃん!晩御飯は?」
寒さでちょっと頬と鼻の頭を赤くしてる翔は、マフラーに半分顔を埋めたままこっちを見た。
「ま、まだ…」
「そっか!俺たちもまだだからさ、一緒に食べようね?」
雅紀は言うと、走ってキッチンに戻っていった。
潤はそんな背中を見送ってから、翔の顔を覗き込んでニヤリと笑った。
「雅紀も、翔のこと丸々太らせる気だ…」
「も、もう…バカ…」