第16章 BOY【O side】EP.9
西島のとこから戻ってきた潤は…もうすっかりと、自分がゲイであるってことを受け入れていた。
どう薫陶されたのか知らないが、すっかりと憑き物は落ちて、西島のように落ち着いた雰囲気を身に纏うまでになっていた。
西島に借りを作ってしまったようで、ムシャクシャしたが…でも、全てフラットになって帰ってきた潤は…
「美味しい?カズ…」
「うんっ。やっぱムジのかにぱんが一番美味しい!」
「もっと食う?」
「いいの?潤くん食べないの?」
アイランドキッチンで立ったまま、和也はかにぱんとやらを食べ始めた。
それを見る潤の目は、穏やかで…そして…
「もお!潤ったら、ニノちゃんまた晩ごはん食べなくなるでしょっ!」
「いいでしょ…俺が食いきれなかったら食ってやるから…」
「だーめ!まだ成長期なんだからっ!!」
「…俺、中2から身長伸びてないんだけど…」
部屋がシーンとした。
ぽん、と潤が和也の肩に手を置いた。
「かわいい。カズ」
そう言って、ちゅっと和也の頬にキスをする。
西島のとこから戻ってきた潤は…
真っ先に和也に「好きだ」って、言った。
多分、一世一代の告白だったと思う。
俺が今まで見た中で、一番潔い告白だった。