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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第16章 BOY【O side】EP.9


「…大丈夫…」

そう呟くと、和也に頭を下げた。

「迷惑…かけて、ごめん…二宮…」
「松本…」
「智も…雅紀も…本当にありがとう…」

少しの間、部屋の中がシンとした。

和也は目にいっぱい涙を溜めている。
雅紀がすごく優しい目で、そんな和也を見ている。

潤は…俯いたまま、じっと傷跡の残る自分の手を見てる。

そっと潤の背中に手を置いた。
少し体が強張ってる。
息もちゃんとできてないみたいだ。
ゆっくりと擦ると、少しだけ潤は詰めていた息を吐き出した。

「…戻ったんだね…?松本くん」

雅紀が言うと、潤はかすかに頷いた。

「ニノちゃん…」

少し雅紀が和也の背中を押した。
半歩前に出た和也は、戸惑っていた。

でも、きゅっと口を結ぶと…そっと、潤の傷跡だらけの手を握った。

「松本…ごめん…」

かすれた声だった。
泣くのを我慢してる声。

「俺は…どんな松本だろうと、大丈夫だから…」

潤の肩が震えた。
和也はしゃがむと、俯いてる潤の顔を覗き込んだ。

「…なにがあったか…話したくなかったら、話さなくてもいい。ただ、自分を大事にして欲しい」
「え……?」
「どうでもいいと、思ったんでしょ?自分なんか、どうなってもいいって」

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