• テキストサイズ

ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第16章 BOY【O side】EP.9


「にの…みや…」

潤が、かすれた声で和也を呼んだ。
それから、ワイシャツに学校指定のズボンの制服姿である和也を、眩しそうに見ている。

「松本…?」

和也はごく自然に、潤の頬を手で包んだ。

「大丈夫だよ。ごめんね?智じゃ頼りなかったでしょ」

そう優しい声で語りかけると、ぐっと潤の体に力が入った。

「お腹すいてない?ご飯いまから、用意するからね?」

このひと月…ろくに返事もしない潤に、和也はずっとこうやって話しかけてた。
まだ正気に戻ったってわかってないから、いつも通りに話しかけてる。

「二宮…ごめん…」

和也が目を見開いた。
すぐに俺の顔を見た。
頷いてやると、ちょっと戸惑った顔をして。
頬を包んでいた手を引っ込めた。

「潤、起きよう」

顔を隠そうとする潤を無理やり起き上がらせて。
雅紀と和也は、それをじっと見てる。

なんとかベッドに座らせると、雅紀が部屋の電気をつけた。
それからカーテンを閉めて、こちらを振り返った。
俺と目が合うと、かすかに頷いて。
立ち尽くしてる和也の後ろに回ると、しっかりと両肩を掴んだ。

「ニノちゃん…ふたりで話す?」
「え…?」
「俺達が居たら、話しにくいかな?松本くん」

そう雅紀が言うと、潤は顔を上げて。
ゆっくりと首を横に振った。

/ 831ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp