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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第16章 BOY【O side】EP.9


ちょっと苦々しく、西島の渋いイケ面を思い出してたら。
潤の手が、俺のズボンを掴んだ。

「え?」

顔を見たら、凄い泣いてた。
ぎゅっと俺のカーゴパンツを掴んで、泣いてる。
しかも、声も出さないで。
ただ、泣いてる。

「潤…?どした…?」

息ができないみたいで、時々引きつったみたいに息を吸い込む。
どうしていいかわからず、また背中を擦るしかできなかった。

「……たい…」
「え?」

何度か、引きつった息をしていた潤が、何か呟いた。

「どうした?潤」
「…にたい…」

よく、聴こえなかった。

「潤…?」

背中を擦るけど、潤はそれきり、また口を利かなくなった。


「智…ここにいたんだ…」

夕方、部屋の中がもうオレンジに染まる頃。
やっと和也と雅紀が帰ってきた。

俺は泣き止んだ潤を抱えて、キッチンの横の寝室に連れて行って、ずっと抱っこして一緒に寝てた。

潤は大人しく、俺の腕の中に居る。

「おう…おかえり。雅紀、和也」
「ん。ただいま。大丈夫だった?一人で」
「ああ…」
「松本、暴れなかった?」
「ん……ほら、潤」

潤の顔をあげさせて。
和也に顔を見せてやった。

「ん…?」

不思議そうな顔をして、和也は潤の顔を見てる。

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