第16章 BOY【O side】EP.9
潤は目を逸したまま、ぼんやりと笑った。
「別に…ただ住まわせてもらって…クスリ、くれるっていうから…」
「潤…」
白石は潤にはシャブはやらせてないって言ってたと、西島から聞いた。
でも潤は…
「違う。シャブじゃない…あんなの…無駄じゃん…」
「え?」
「…違うクスリ…くれるって言ってたんだ…」
「違うクスリ…?」
かすかに頷くと、また膝頭に顔を埋めた。
「……金、誰が返してくれたの?」
「ああ…そりゃ、俺かな…」
「え?」
正直、金は雅紀が用意したから、よくわかってない。
アテナから出したのか、俺個人の口座から出したのか、はっきりと確認はとってなかった。
「まあ気にすんな。とりあえず、俺たちでそこんとこはきちんとしたし、利子取ろうとか売り飛ばそうとか、そんなこと考えてないから。だから、安心しろ」
「なんで…?なんでそんなことしてくれたの…?」
本気でわかんないって顔してるから、少し笑った。
「そりゃ…和也の頼みだから」
「…二宮の…?」
「俺たちの愛しい家族だからな。お願いされたら、全力で応えるに決まってんだろ?」
…つっても、大半が雅紀が動いてくれたからであって、しかもあの西島の野郎が、素早く潤を見つけてきたから…俺はなんにも全力出してないがな…