第16章 BOY【O side】EP.9
「覚えてる…でも…借金いっぱいあったよ…?」
「だから、あんな仕事してたんだろ?それはもうわかってる。潤がサインして肩代わりする分は、もう返した。だから契約書も、全部こっちに取り返して、潤の借金はない」
「え…?あいつの分は…?」
「白石の分?」
「うん…」
「…潤…」
やっぱり…恋人だったんだよな…?
だから、気になるんだよな…?
「…そこまでは、手を回していない」
非情なようだけど…
潤は和也があんな状態になるほど心配した「クラスメイト」だったから助けた。
それにまだ…17歳だ…
俺なんかと違って、普通に育ってたら高校生やって青春やってる年齢じゃないか。
でもそれはあくまで潤だからであって。
あんな自らクスリに溺れて、潤みたいな未成年に貢がせてるクズを救い出すほど、俺達はお人好しじゃない。
それがたとえ、潤の大事な人だったとしても。
「…そっか…」
…もっと、ショックを受けたり暴れるかと思ったのに…
潤は至って冷静で。
ちょっと拍子抜けした。
「…いいの…?」
「え?」
「白石のこと…」
「ああ…だって、あいつどうしようもないし…約束も守らないし…」
「付き合ってたんじゃ、ねえの?」
思わず、聞いてしまった。