第16章 BOY【O side】EP.9
俺の胸に顔を埋めて、少し体を縮こませてる。
俺よりも背も高いし、肩幅も広いんだけど、とにかく食べないから…体は俺よりも細くて、腕の中にすっぽりと入ってしまう。
背中をポンポンと叩いていたら眠ってしまった。
「じゅーん…?」
凄く長いまつ毛を見ながら、くうくうと眠る潤を見ていた。
「…何があったんだよ…」
こんな…天使みたいな寝顔してんのに…
「どんだけ辛い目に遭ってきたんだよ…」
俺は…自分がゲイだって自覚があるわけじゃないけど…
でも、俺は俺なんだっていうプライドみたいなものが昔からあって…だから、別にどっちだって俺だからさ。
別にゲイだとかなんだとかで、悩んだことなんて一切なかった。
最も、最初の頃は生活していくための手段でもあったわけだし…そんなこと言ってらんなかったからな…
和也だって、似たようなものだ。
雅紀は最初からゲイだったから…悩む以前の問題だったようだが…
でも…潤は違うんだ。
普通の家庭に育って、普通の男子として生きてきたんだ。
しかも自分では全く自覚していなかったんだから…
それに気づいたときの衝撃…
そして家族に拒否されたときの衝撃…
夢を諦めるときの悲しみ…
想像すると、こっちまで参ってくる。