第16章 BOY【O side】EP.9
「ゲイだって…認めたくないのかなって…思ったんだ…」
「え?」
「なんとなくだけど…その話聞いたら、家族のこと大事に思ってたみたいだし…」
少し目に陰りが見えた。
「松本の家…松本のこと、死んだって言ってたんでしょ…?」
「おん…」
「認めたくても…認めらんなかったのかもしれないって…」
前髪をかきあげて、俺を見た。
「…松本は、格好いいのに彼女いたことないって聞いてたし、俺のことじっと見てくるし…自覚ないけど、そういう気があって…それを認められないんじゃないかって、思ってたんだ…」
「うん…」
和也は自分でも言うけど、本当に勘がいい。
案外、当たってるのかもしれない。
何かあって、自分がゲイだって自覚して…
家から追い出されたのか…居たたまれなくなって、自分で出たのか…
潤は…自分のこと、受け止めきれないのかもしれない…
「でも…一緒に居たの、男の人なんでしょう…?俺、よくわからなくなって…」
ぐしゃっと頭を掻くと、ため息をついた。
「…松本くんも、よくわからないんじゃないの…?」
「え…?」
「だから、ああなってんじゃねえの?」
「あ、そっか…」
「案外、一発おまえがやってやったら、目ぇ覚めるんじゃねえの?」
「バカ智」
「お」
「どうしてそう下半身でしか物考えないのよ…」
随分年下にバカにされた…
「ぐすん…」
「泣いてもだめなんかだからね?」