第3章 ヤギは嫌いだ from 99.9%のDNA
いつもよりも少し豪華なハンバーグのプレートを、お兄さんは嬉しそうに眺めてる。
俺と全く同じの生年月日だというお兄さんには、勝手に親近感を持っている。
だから、こんなに喜んでもらえて俺も嬉しい。
松本くんの前には通常の固定メニューのメインの肉料理を置いた。
「あ、本当にありがとうございます!」
にこにこと、松本くんも本当に嬉しそうで。
「シェフに伝えておきます」
ああ…本当に、この瞬間が好きだ
雅紀の作った料理を美味しいと言って、喜ぶ顔
しあわせな時間を提供できてるのが、ほんとうに嬉しくて
恋人である雅紀とこの店をやれて…
たくさんのお客さんをしあわせにすることができて
本当に俺って、幸せものだと思う
「俊介?」
深夜、お店が終わって後片付けも終わって。
奥の個室のテーブルに座って、ぼけっとしてた。
「どうした?疲れた?明日もあるから、早く帰ろうか」
「うん…」
明日もクリスマスディナーの予約は満杯で。
ありがたいんだけど…
「あのさ、ここ、座って?」
「ん?」
グリーンのテーブルクロスを敷いたテーブルの、向かいの席を指さした。
「どした?」
ストンと座ると、不思議そうな顔で俺を見た。