第3章 ヤギは嫌いだ from 99.9%のDNA
ふわふわしあわせな一日の締めくくりのディナーを、お客さんは楽しんでくれてる。
「できたよ!7番さんね!」
「はい!」
クリスマスディナーは、テンパっちゃうからメニューは固定にしてる。
だからバタバタしてるけど、なんとかふたりでこなすことができる。
「あれ?ハンバーグ?」
「うん。潤のお兄さんが好きって言ってくれたから、特別にね」
「そっか…」
こういう優しいところ、大好きだなと思う。
「さすが雅紀…」
小さく呟くと、聞こえちゃったみたい。
顔を真っ赤にしてこっちを振り返った。
「えっ!?もう一回言って!?」
「じゃあ、いってきまーす」
「ええっ!俊介ぇ~!」
あんまり言うと、調子に乗っちゃうからね。
うん。
今はまずい。
雅紀ったら調子に乗ると、バッドもグッドも両方のミラクル起こすからな…
「お待たせいたしました。メイン料理です」
奥の個室のドアをノックして入る。
松本くんのお兄さんの前にハンバーグを出すと、ぱあっと明るい顔をした。
「え…?これ…」
松本くんが戸惑った声を出した。
「シェフがこのメニューをと」
「ええっ…まじで?」
ぱあっと松本くんも笑顔になった。