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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第3章 ヤギは嫌いだ from 99.9%のDNA


鈍いなあ…

つっても、今日も明日も忙しいから、毎年この日はテンパって忘れてるんだけどね。

「はい。お誕生日、おめでとう」

テーブルの下に隠しておいたプレゼントを取り出して、雅紀の前に置いた。

「えっ…あっ…!そっか!俺、今日誕生日!」

嬉しそうに笑うと、プレゼントを手に取った。

「なんだろ、これ…」
「ふふ…開けてみて?」
「なんかごめんね?俺、今年の俊介の誕生日、すっかり忘れてたのに…」
「いいのいいの」

だって自分の誕生日すら忘れてるんだもん。
怒る気になれないよ…

ばりっと包装を破って、箱を開けた。

「わ…!ピアス!」

雅紀の耳にはいっぱいピアスの穴が開いてるけど、最近新しいの買ってなくて…
仕事のときは外しちゃうから、だんだん面倒くさくなってきたみたい。

だから、休みの日につけて欲しいなって思って…

「…なんでヤギ?」
「山羊座だろうが!」
「あ。そっか…てへ…」

凄くシンプルな、シルバーの山羊座のモチーフのピアス。
雅紀は手に取ると、嬉しそうに俺の顔を見て。

そしてひとつ、キスしてくれた。

「ありがとうね、俊介…」
「どうして自分の星座忘れちゃうかな…」
「いや、だって…このヤギ…ぶっ…」
「なに?」
「ヨコに似てる!」
「…は…?」

ヨコとは、雅紀の親友の横山裕のことだ。

「この顎の出てるとことか…ぶぶぶっ…」

小さなピアスを見つめて、雅紀は爆笑してる。

「…帰る…」
「えっ」

もお!どうして、せっかくの雰囲気なのに!

「ど、どうしたの!?俊介っ」

もおおおおおお!にぶちんっ!
横山はなあ…おまえのこと好きなんだぞっ…!

そんなことも気づかないで…なんで俺の前でっ

「横山に誕生日祝ってもらえばいいじゃん!」
「えええっ!?俊介!?」



俺の恋人は…
まじで鈍いんです…



でも…そんなとこも、好きなんだけどね…




「しゅん~~~ごめん~~~~」
「もー!知らないっ知らないっ!」





【END】
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