第16章 BOY【O side】EP.9
その瞬間、潤が俺に飛びかかってきた。
「松本っ…!」
和也の叫ぶ声が聞こえる。
何がなんだかわからなかった。
ものすごい力で廊下に押し倒されて、見上げた潤の顔は獣みたいだった。
「二宮に触るなっ…」
そう叫ぶと俺の胸ぐらを掴んで右腕を振りかぶった。
「松本っ…やめろっ…」
和也が潤を後ろから羽交い締めして、なんとか殴られなかったが…
「いてぇ…」
腰を強かに打ち付けてしまって、身動きが取れなかった。
「どうしたの!?」
派手に廊下に倒れ込んだから、音を聞きつけた雅紀がリビングのドアから飛び出してきた。
「智っ!?」
倒れてる俺にびっくりしてる雅紀に、和也が叫んだ。
「雅紀っ…一緒に押さえてっ…」
「あ、ああ…」
なにか喚きながら暴れてる潤は、本当に頭がイッちゃってるようだった。
「ど、どうしようっ…智っ…」
暴れる潤を抑えながら、雅紀が俺を見た。
「どうしようもねえだろうよ…縛って押入れにでも閉じ込めとけ」
「ええええっ!?」
「冷静になるまで、そうしとくしかねえよ…うう…」
腰が痛い…
「松本っ…松本っ…」
和也が必死で呼んでるけど、潤には聴こえてないみたいだった。
結局…なんとか動けるようになった俺が、ベルトで潤の手と足を拘束して、寝室のベッドに転がすまで、潤は暴れ続けた。