第16章 BOY【O side】EP.9
玄関で靴べらを使いながら革靴を履いている。
履き終わって靴べらを雅紀に渡すと、また笑いかけている。
…気に入らねえ…
でも頑張って顔に出さないよう努力した。
そんな俺の顔を見て、西島は俯いて笑いを堪えてる。
ぐぬ…
「あのさ…秀俊…その白石って奴には、会える…?」
突然、雅紀がとんでもないことを言い出した。
「え?なんで会う必要あるんだ?」
「…いや、もしかして…松本くんが会いたがったら、と思って…」
西島は眉間のシワを更に深くして、顎に指を当てて考え込む顔になった。
「だって…恋人、だったんでしょう…?」
「ああ…まあ、そうなんだろうな…車の中でも、戻れって暴れたからな…」
「えっそうなの?」
「なにか用事があるのかもな。白石に…」
そう言うと、指を外して顔を上げた。
「まあ、松本潤が会いたがったら、また連絡くれ。どうせあの様子じゃしばらく動けないだろうし。奴の居る場所はわかっているから」
「ごめんね…ありがとう」
「…相変わらずだな、雅紀は…じゃ」
そう言うと、ドアを開けて西島は出ていった。
「ぐぬ…」
「もお…智ったら…」
雅紀が振り返って俺を抱きしめてきた。
「ヤキモチ妬いちゃって。新鮮」
「やかましい。鼻の下伸ばしやがって」