第16章 BOY【O side】EP.9
「それから、あっちの会社で映像作品に出演するっていう契約書…それから…」
何枚かある書類を全部説明してくれた。
それから、白石って奴から聞いた、潤とのことも…
「これだけだって、先方が渡してくれたから、多分全部だとは思うんだけどな。白石が別口で金借りてたらいけないから…それもちゃんと調べて真っ白にしてから、この書類も返すから」
「…そんなに借金まみれだったの…?その白石って男…」
「シャブ中だよ…年季の入ってる」
「えっ…」
雅紀は俺の顔を見た。
どうしてそんな男と一緒に居たんだ…?
もしかして、松本潤にも…
雅紀もそう思ったに違いない。
「いや」
西島が遮るように呟いた。
「白石に聞いたけど、松本潤には”もったいないから”打ってなかったらしい」
「え…?もったいない…?」
「自分で使う分しか、買えないほどの稼ぎしかなかったんだよ…白石と松本潤には…」
「ええ…?なんで…そんな…」
「さあな。俺にはよくわからん」
そう言うと、書類を畳んで封筒に入れた。
「じゃあ、また連絡するから」
「うん。本当にありがとう。秀俊」
「ああ…」
「…ありがとうございました。西島さん」
「……大野」
「はい?」
「もうちょっと、ポーカーフェイスの練習しろ」
「えっ?」
くくく…と笑いを噛み殺しながら、西島はリビングを出ていった。