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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第16章 BOY【O side】EP.9


「西島さん…」

車の助手席には、雅紀の男…
正確に言えば、過去の男が居た。

「久しぶり。どうする?」

西島が声をかけると、硬直していた雅紀はやっと動き出した。

「地下駐車場に入れて。リモコン持ってきたから」

後ろで伸びてる男…これが、潤だった。
ボロ雑巾みたいに体中傷だらけで…服を着ていてもわかるほどひどい状態だった。

潤を起こして挟むように雅紀と俺で、後部座席に乗り込む。

「藤ヶ谷、後ろだ」

西島が言って、藤ヶ谷が車をバックさせる。
地下駐車場の入り口までバックさせると、ギアをドライブに入れた。

スロープを降りていくと、シャッターが見える。
雅紀がリモコンでシャッターを開けると、セダンは静かに地下駐車場に進んだ。

「前金でナシつけてきたから、後金は1束でいい」
「え…?でも秀俊、そういう訳には…」
「…いい…今回は、そいつに免じてまけてやるよ」

そいつ、とはどうやら潤のことを指しているようだ。

…気に入ったのか?このおっさん…

雅紀が困ってると、車は地下のマンション入り口の前で停まった。

「西島さん」

俺が声をかけると、西島はゆっくりとこっちを見た。

「後日…雅紀と一緒に、改めて礼に伺いますんで…本当にありがとうございました」
「…いいや…このくらい…」

そう言って俺を見ている顔は…嫉妬とか、懐かしさとか…色んなものが混じってる、複雑な表情を浮かべてた。

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