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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第15章 BOY【M side】EP.8


気がついたら、セダンの後部座席に寝転がってた。
服もちゃんと着てる。
一体あれから、どれくらい時間が経ったんだろう。

車窓から見える風景はみたことない街の風景だった。

もう夕暮れてる。
街はぼんやりと、オレンジの色の光に包まれている。

運転席には茶髪の若い男が居て、助手席に西島って人が座ってた。

「あ…の…」

体を起こして、少し身を乗り出して話しかける。
ちらりと、西島がこちらを見た。

「あの人は…?」
「…白石?」
「はい……」

西島はまた前を見た。

「知らん。借金の残りを返すそうだから、香川のとこに残ってる」
「え…?」
「あんたはもう、金で片がついた。自由だ」

自由…?

「ま…待って…」

待って…待って…あいつが居ないと…
俺、どうしたらいい

「停めてっ…車っ…停めてっ…」
「ちょっ…」

運転席の男の肩を思い切り掴んだ。
停まってくれないと、戻れない。

「暴れるなっ…」

ガツンと頭を殴られて。
意識が遠くなっていく。

「大人しくしてろ…」
「シャブでもやられてんすかね…?」
「…オイ、藤ヶ谷。雅紀に連絡しろ」
「あ、ハイ」

マサキ…?誰それ…


待って…だって俺…
綺麗に死ねる薬…まだ…



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