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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第15章 BOY【M side】EP.8




夢…見てるんだ…
きっと、これは夢

長い長い…夢…


きっと次に目が覚めたら
自分の部屋で、ベッドに寝てるんだ

母さんが起こしに来て、
潤、また遅刻するわよ
って、困った顔で起こしに来て

俺が起きなかったら、姉ちゃんが飛び蹴りしに来るんだ

それでも起きなきゃ…今度は父さんが…




「……松本……?」

遠慮がちな声が聞こえてきた。
それは聞き覚えのある声だった。

目を開けると、知らない部屋に居た。
白い天井が見える。
照明はついていなくて、部屋の中は薄暗い。

部屋の隅の方から、淡い光が見える。

その方向に目を向けると、小さな男の影が見えた。

「…誰…?」

ためらいがちに近づいてくるその影。
顔に、淡い光が当たった。

「…二宮…?」

泣いてるみたいな顔で、俺のこと見下ろしてる。

「…松本…」

え…?
なんで…?

なんで二宮が…?

夢…?


これも、夢なんだ



「もう…大丈夫だから…」
「…ほんと…?」
「だから、ゆっくり眠って…?」
「ここ…どこ…?」
「ん…俺んち…」
「そっかぁ…」

なんだ…二宮の家の、借金も夢だったんだ…


…そっか…


じゃあ、次に目が覚めたら…

今度は夏に


あの夏の前に


教室で、二宮のこと眺めてた
あの日常に


きっと、戻ってるはず





きっと


【窮鼠、愛を噛む④ END】
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