第15章 BOY【M side】EP.8
男は眉間のシワを更に深くして、俺のこと苦々しく見ている。
前髪は短く、額に掛かっている。
優しげにみえるけれども、やはりどこか触ったら斬れそうな空気を纏っている。
ふっと息を吐くと、手を顎に当てた。
なにか考える顔をしている。
「…あんた、松本潤?」
「え…?」
その男は、上質のスーツのポケットからなにか取り出した。
俺の前に出てきたのは、名刺だった。
「俺は、こういうモンだ」
「…西島…さん…?」
「ああ。あんたを引き取りに来た」
「…え…?」
何を言ってるんだ…?
男はため息をつくと、後ろを振り返った。
「香川さん。探しモノ、見つかった」
「ええ…?」
忌々しげに、香川が部屋の中を覗き込んで俺を見た。
「コイツ…まだ借金残ってんだけど」
「それ、松本潤名義なの?」
「え……?」
「調べさせてもらったけど…その、白石って奴の借金だろ?」
「え…ま、まあ…でも肩代わりするってサインしてもらってるし」
「コイツ、まだ17、8歳だけど?いいの?タレ込んで」
「またまた…西島さぁん…」
「んじゃ、これでどう?」
西島というひとは、ポケットからまた何か出した。
分厚い封筒だった。