第15章 BOY【M side】EP.8
懐かしいな…
「オイ、おまえ担げよ」
「は、ハイ…」
見上げると、おどおどしたあいつが俺のこと抱え上げた。
「潤…ごめんなぁ…ごめん…」
泣きながら、俺のことぎゅっと抱きしめて。
痛い…離せよ…
出口のドアから外に出ると、オンボロのハイエースが停まってる。
その後ろの座席は取っ払われてて。
そこに敷いてある毛布の上に、俺は寝かされた。
「白石!運転しろ!」
「あ、ハイ…今…」
あいつは俺を毛布に寝かせると、自分の着ていたジャケットを俺に掛けて、後部座席のドアを閉じた。
助手席には、あの日アパートの外に居たいかつい顔の男が座っている。
こいつは、俺達の監視役だ。
「…いつになったら、薬…くれんだよ…」
運転席に座るあいつの肩は、前よりも細くなった気がする。
俺に、こんなことやらせて金稼いでるくせに。
食ってないんだろうか。
「オイ、白石。ジュンがなんか言ってんぞ」
「ああ…ええ…」
「んだよ。おめえのイロじゃねえのかよ…やっぱホモってやつぁ、薄情なんだなあ。犬畜生以下じゃねえか」
「は…はは…」
「そこ、笑うとこかよ?」
ドカっと音が聞こえて、あいつの呻く声がする。
「おら、しっかり運転しろよ!事故ったらダルマにして海に放り込んでやっからな!」