第15章 BOY【M side】EP.8
どこに…
こんな俺のどこに価値があるんだよ…
虫ケラ以下じゃねえか
薬盛られて、輪姦されて
気がついたら、ゴミみたいに放り捨てられてて…
まるで人間扱いされてない
自分の価値は自分で決める…?
こんな汚い便所で、ケツの穴から精液掻き出して、トイレットペーパーで体中についてる精液拭いてる俺に、なんの価値があるんだよ…
「……死のう」
そうだ。死んだら良いんだ。
死んだら楽になれる。
この世の煩わしいこと全部捨てて
高校生の俺も
松本の家の長男だった俺も
ケツの穴に男のチンコ突っ込まれて善がる、淫乱な俺も
男にしか勃起しなくなった俺も
全部…全部…
個室から出たら、男たちが絡み合ってた。
「ねえ…一緒にどう…?」
便所でヤルのが趣味なのかよ…
臭え奴ら…
もうどうでもよかった。
横っ面を殴りつけて、逃げた。
幸い、手首の安っぽいバーコードのついたロッカーの鍵までは取られてなかった。
急いでフロントを探して、ロッカーに入ってた服を着た。
追いかけてくるかと思ったけど、あいつらは追いかけてこなかった。
フロントで精算して外に出た。
真っ昼間だった。
呆然とした
まだ、夜だと思ってた
こんな明るくて、どこで死んでいいか
わからなくなった