第15章 BOY【M side】EP.8
「1万?」
声を掛けた男は怪訝な顔をして、オバケみたいな俺の顔を覗き込む。
「あんた、そのツラで1万も取るの?」
「…そういう趣味のやつがいるから、いいんだよ」
「ああ…嬲らないとイケない奴ね…アンタもそうなの?見たとこ、若そうなのに…」
この男はそういう趣味がないようで、心底軽蔑した目で俺を見てる。
「首絞めでもなんでも、やってもいいよ。1万くれるなら」
「へえ…?」
「…なんなら、殺してくれてもいいよ…?」
「ちょ…物騒だなあ…そんな趣味ねえよ。あっちいけよ…気味悪い」
しっしと手で追っ払われて。
少し場所を移動して、また男に声を掛ける。
「ねえ、遊ばない?」
あの日…サウナで目が覚めたら、俺は何人もの男にヤラれたあとだった。
睡眠薬かなんかやられてたらしく、何時間も眠っていたようだ。
ケツがガバガバになってて、立ち上がることすらできなかった。
店員も買収してたみたいで、掃除の店員は立てなくなってる俺のこと見て見ぬ振りして、バケツを持って横を通っていった。
「痛ってぇ…」
なんとか壁伝いに歩いてトイレまで行った。
ケツの穴が気持ち悪くてしょうがなかった。
生でヤッたやつもいたみたくて、ケツから精液がタレ流れてきた。
汚いトイレの便座に座って、ただひたすら泣けた。