第14章 BOY【A side】EP.7
「俺…雅紀が居なかったら、俺…」
「もお…大丈夫だからあ…俺が智から離れるわけないでしょ?」
「雅紀…」
「家族、なんだから…」
ソファにうつ伏せで寝てる智を起こして、膝に乗っけてぎゅうって抱きしめた。
「ニノちゃんのことも…智のことも…愛してるよ…」
「うん…うん…」
ぎゅううって俺の肩口に、智が顔を押し付けてきて。
なんて可愛いんだろ
なんて…愛おしいんだろ…
あの人との恋は…毎日心臓が壊れるかと思うほどドキドキして
激しくて、濁流の中にいるみたいな毎日だった
でも今は…
智とニノちゃんと持つ、こんな時間が…
本当に、本当に愛おしいんだ
あの人との恋とはぜんぜん違う
でも…こんな日常の中で感じる愛も、本当の愛なんだって
最近、そう思うんだ
「…藤ヶ谷くんが色々してくれるしそんなに会わないと思うよ?…でもさ、お礼しなきゃだからさ。一回も会わないのも失礼じゃん?」
「俺も一緒に行く」
「もちろん」
俺の腰に回してる腕に、ぎゅうって力が入った。
「…ごめんな…雅紀…」
「なにがだよ。なんで謝るの…」
「俺、ほんと頼りない…」
「そんなことないよ、智」
だって…俺達が、こうなれたのは、智のおかげなんだから。