第14章 BOY【A side】EP.7
だから、ニノちゃんも俺の恋人になってもらったんだけどね。
…ほら、家族だからね。家族。
家族は分け合うものっていうじゃん?
…だって可愛かったんだもん…
「雅紀ぃ…」
「んー?」
「こういう時は、俺じゃだめだ…おまえ、行ってやれよ…」
「智…」
「だめなんだよ…俺、口下手だし…多分、和也の地雷とか踏み抜くし…こういうとき、本当になんて言っていいか…」
ぐうっと頭を下げて、スケッチブックに額を付けた。
「学がないから、わからないんだ」
コンプレックス…ほじくり返しちゃってるよ…
「智…」
そっとソファに寝そべる智に近づいて、座面の隙間に無理やり座って、智の猫っ毛の頭を撫でた。
「ごめんね。この前あんな事言ったから、気にしちゃった?」
「ちげーよ…だって、事実だし。中卒なのは…」
「まあね」
「雅紀と違って、大人になってから資格取ったりできなかったし。アホだから」
あー…すごい。奈落の底に、更に穴掘ってるよ。
珍しいなあ。
「…いいじゃん。今は、ちゃんと社長してるんだから…」
「それだって、雅紀がしてくれてるだけだもん…」
「さーとーしー…」
中学生みたいな拗ね方だ。
「だって、智には社長の才能があるんだもん…それに…」
「んー…?」