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ヘブンズシュガーⅢ【気象系BL小説】

第14章 BOY【A side】EP.7


「ただいまー」
「お帰りー」

マンションに帰ってリビングに入ると、智がソファで寝そべりながら絵コンテを描いているのが見えた。

地下駐車場がありえないほど暑くて、また俺はびっしょり汗をかいていた。
洗面所で手を洗うついでに持ってきたハンドタオルで、首筋を拭った。
汗を拭きながらキッチンを見て。カーテンの開いてる窓からベランダを見て。

「…ニノちゃんは?」

少し声を潜めて聞くと、智は黙って顎をしゃくって寝室を見た。

「まだ、だめ…?」
「まあ…トイレもあっちから行けるし…顔見てねーわ…」

唇を尖らせた横顔を見せながら、また絵コンテ用のスケッチブックに目を落とした。
サラサラと鉛筆を動かす音がする。

寝室から直で廊下に出られるドアがあるから、リビングなんか通らなくても引きこもりできる。

あの日…
大量に散らかったパッケージの中から、ニノちゃんが見つけた物。

汚れた、松本くん。

今、高校3年生やってるはずの。
ニノちゃんの、元クラスメイト。
去年の夏休みは目一杯バイト入れたってはしゃいでた、松本くん。

あんなシニカルなニノちゃんが、取り乱した。

それは、俺も智も見たことがないニノちゃんだった。

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