第14章 BOY【A side】EP.7
「暑い…」
コインパに停めた車の中は、蒸し暑く。
汗っかきの俺はすぐにびしょびしょに汗をかいた。
車を出して、エンジンが温まるまで窓を全開にする。
生暖かい風が顔に当たって、髪をぐしゃぐしゃにするけど仕方ない。
…あのときはまだ若かった
中学を卒業して、勉強ができなかった俺は高校進学のことなんて、なーんも考えてなかった。
施設を飛び出して、その頃にはもう立派に一人暮らしをしてた智の部屋に転がり込んだ。
最初智は嫌がったけど。
俺の決意が固いと知ると、店を紹介してくれた。
そこで年齢を誤魔化して働くことになった。
とにかく最初の一年は無我夢中で。
…知識は腐るほどあったけど、フェラ以外は実際するのは初めてだったし。
智の部屋から独立しようとかなんとか思ってたけど…
一緒に暮らしてみたら、意外となんかしっくり来るっていうか…
施設に居た頃とは、ひと味もふた味も違う智に変化してた。
何があったかはわからなかったけど、客筋がどうも智はいいみたいで。
学者さんとか、芸術家とか、医者とか。
俺の客にはそんな人居なかったのに、この違いは一体何なんだろうって思ったね。
そんな智から、いろいろと影響を受けてるのが、なんか楽しかったんだよね…