第14章 BOY【A side】EP.7
『これ…俺のクラスメイトだったんだ…』
あのときの、ニノちゃんの顔が浮かんだ。
泣きそうで…なのに、瞳は塗りつぶしたみたいに真っ暗で。
なんにも希望がない、目。
昔のことを思い出す。
いつも、うがい薬のせいで喉がヒリヒリしてた…あの頃のこと
「…若気の…至り、ね…」
コインパーキングまで歩きながら、柄にもなく。
腹の底から突き上がってくる、なんだかわからない衝動に耐えていた。
多分、俺はムカついているんだ。
ニノちゃんにあんな顔をさせたことを。
松本くんであんなビデオを撮る連中のことを。
あそこまで堕ちてしまった松本くんのことを。
松本くんを食い物にしている奴らのことを。
──そんな奴らと、なんら変わらない自分のことを
泣きたいほど、情けない。
自分のことぶん殴ってやりたい。
なのに、若気の至りの俺は…そんな俺を見て笑ってんだ。
それで稼いでたくせに、なに言ってんの?俺
「うるさい!俺っ!」
思わず、道を歩いてるのに怒鳴ってしまった。
前を歩いていた女性が、こちらを見て怯えた顔をして逃げていった。
「やばい…何してんだ俺…」
走ってコインパまで行って、すぐに車に乗り込んだ。