第14章 BOY【A side】EP.7
「…カタにはめられた(騙された)んですか…?この子」
戻ってきて、事務机の上に置いてあるパッケージを手にとって眺めた。
「多分ね…じゃなきゃ、そんなの出ないでしょ…」
「まあね…」
藤ヶ谷くんの手にあるブルーレイのパッケージ。
そこには「松本くん」が写っている。
ひどい陵辱モノで、パッケージだけでわかるほど吐き気がするほど下品な内容だ。
「ニノちゃんの…友達なんだって…」
「え?」
「同級生」
「…そっすか…」
なにもかも分かったって顔して、藤ヶ谷くんは頷いた。
「まあ…二宮くんにはたくさん稼いで貰いましたからね…」
「頼むよ…ごめんね?藤ヶ谷くんにこんなこと頼んで…他の会社(ヤクザの事務所)の人みんな怖いし、ボスはなかなか捕まんないんだもん」
「まあ…うちのボスは…ああいう人なんで…」
パッケージを事務机に置くと、チラリと俺を見た。
さっきまでの人の良さそうな顔は引っ込めて、いっちょ前の極道の顔をした。
「後金は?」
「んーもう2束積もうか」
「わかりました。ちょっと探り入れて連絡します」
「よろしく」
「必要経費は請求させてもらうんで」
「いいよ。頼んます。あの人によろしくね」
「はい。伝えておきます」
話はついた。
ヒュアキントスの事務所を出ると、どことなく昭和の匂いのするビルを見上げた。
「暑…」
どこからか、ドブの臭いが漂ってくるから足早にそこを離れた。