第1章 仄暗い奈落の底から -sequel -
一年以上前のことだった───
久しぶりで幼馴染5人で集まろうってなって…
潤の誕生祝いができてなかったから。
毎年、欠かすことなく続いていた俺達5人だけの恒例行事だった。
その頃、俺と智は付き合い始めたばかりで。
実はずっとお互いに思い合っていたけど、なかなか前に踏み出すことができずにいた。
男同士だし、幼馴染だし…
俺も智も家業を継いで、店をやってる。
智は俺の店の二軒となりの、商店街の入り口で古美術も扱う仏具屋をやってる。
そんなだから家族ぐるみで付き合いもあって、なかなか俺たちは気持ちをはっきりと伝えることができずにいた。
でも、店を預かって独り立ちして、お互いの商売も軌道に乗ってきた頃…
家族は店の倉庫の都合なんかもあって郊外に引っ越していき、俺と智は商店街の近くの同じアパートにそれぞれ部屋を借りた。
仕事が終わると、俺たちはいつも一緒に居て、飯も毎晩一緒に食うようになって。
自然と…俺たちは付き合うことになった。
それを、報告しようって言ってたんだ。
あんな翔ちゃんを見るまでは───
どうして…?翔ちゃん…
どうしてそんな風になってしまったの…?