第13章 BOY【N side】EP.6
「…ちょっと長くなるけど、話すから…」
「……え?」
振り返ると、雅紀が泣きそうな顔をして立ってた。
その向こうにいる智も、目を真っ赤にしてる。
そんな顔、見たことなかったから急に怖くなった。
「い…いいよ…無理して話さなくても…」
雅紀の手を振り払うようにして、歩き出した。
「和也…」
急に智に抱きとめられて、なんだか自分まで泣きそうになった。
「もおいいよ…そんなに話すの嫌なら…」
「嫌ってわけじゃない」
智の声は、少し硬い。
「ただ…そうだな…和也に、嫌なこと思い出させるかなって思ってさ…」
「俺…?」
「うん。俺、和也と似たような境遇だったからさ」
なんで…?
こんなにお金持ちなのに。
親がお金持ちだったわけじゃないってこと?
「おまえ、去年の夏…あんな寝込んだんだぞ…?」
「え?」
「あんなになんでもない顔して、しんどい思いしてた和也に、こんなこと話せなかったんだよ…」
「智…」
俺の、ため…?
「…そんなの平気だよ…」
「和也…」
「だって、俺は…俺がやりたかったから、親のこと助けただけだし…」
そうだよ。俺、あんな生活から親のこと守りたかった。
だから、身体売ってただけだし。