第13章 BOY【N side】EP.6
ベッドに蹲ってたら、涙がちょっとだけ出てきた。
贅沢なこと思ってるっていうの、わかってる。
今がしあわせだし、今になんの不安もない。
だけど…好きな人のこと、全部知りたいって思うのって、ワガママになるのかな。
智も雅紀も、若い頃のことになると話をはぐらかす。
聞いて欲しくないんだなって思ってたから、俺も敢えて踏み込むようなことはしたくなかったし、聞かなかったんだけど。
それでも、そういうのが積み重なるとシンドい。
俺だけ、無人島に放り出されてる気分になる。
『和也は、繊細なんだよ』
智の声が耳に蘇る。
繊細…ナイーブ…
なんだよそれ。
普通のやつは、こういうの平気なの?
俺だけなの?こういう風に思うのって…
しらねーし。
そう言われてもさ、そう感じてしまうもん、どうしろっつーんだよ。
でもさ。
誰にだって、触れられたくない話があるってことは、わかるからさ。
「だから、聞かないでやってたのに…バカバカバカ…」
ボカボカと顔を埋めてる枕を殴ってたら、寝室のドアをノックする音が聞こえる。
「にーのちゃーん…ごめんね…?開けて…?」
「かーずーなーりー…ごめん。ほんとごめんな?」
なさけなーい、おっさんたちの声が聞こえてきた。